ここ数年、共働き世帯の増加や待機児童問題など育児にかかわる様々な問題が噴出してきています。その中でも同じく問題視されているのが「ワンオペ育児」です。
ワンオペ育児とは「育児と家事を夫婦のどちらか一方がすべて一人で行なっている状態」を示した言葉です。育児はそもそもママの仕事、パパの仕事と区別するものではありません。平成の中期頃まで、昭和時代は「育児は母親の仕事」なんて考え方が一般的ですが、先に記したように「共働き世帯の増加」に伴って今や育児は「夫婦共同の仕事」が当たり前といえば当たり前です。しかしそういった中で、様々な事情により「夫婦で育児をする」ことが難しい家庭が増加傾向にあるようです。
そこでこちらの記事では、ワンオペ育児の現状や、可能な限り負担を減らすための工夫をご紹介します。
仕事も家庭も両立してこそ、ですよね。そこまで数は多くないので是非参考にしてください。
共働き世帯の子育てがワンオペ化が招くデメリットとは
そもそも、共働き世帯の子育てがワンオペ化してしまうとどういったデメリットがあるのでしょうか?
元々、男性の家事育児負担時間は女性に比べて短く、平成28年度の社会生活基本調査によれば、子供がいる共働き世帯における1日当たりの負担時間は以下のようになっています。
家事時間…妻:3時間16分 夫:15分
育児時間…妻:56分 夫16分
となっています。
また平成23年度の同調査ではより詳しい統計結果が出ていて、0歳の子供がいる共働き世帯では「平日の夫の家事時間がゼロ=ワンオペ育児」は何と全体の半数近くの43.9%にも及んでいました。
さらに子供の年齢が上がるにつれ、その割合が増えていくことも分かっています。
このような共働き世帯のワンオペ化には様々なデメリットがあります。
例えば子供が熱を出してしまったときです。家事を負担している側にどうしても抜けられない仕事があると、病院へ子供を連れて行くのが遅れてしまうこともあるでしょう。
もちろん、こういったデメリットは子供に対してだけでなくお父さん・お母さん自身にも降りかかる可能性があります。自分や子供の健康状態や日々の生活の事を考えれば、ワンオペ状態が続くことは「常に綱渡りをしている状態」ともいえるわけです。
そういう時は誰かに相談すればいいんじゃないのか?なんて声も聞かれますが、それすらも難しくなってしまうのがワンオペ行く女の問題点でもあります。そもそもワンオペをしている側からすれば「自由に使える時間が少ない」という状態なので、相談しに行くのが難しい、ということにもなってしまいます。そうなれば、だれにも頼れないという状況が続き、精神的・肉体的な負担もますます大きくなってしまうことは容易に想像できます。
実際に役所の窓口には子供支援課といった子供に関する窓口もありますが、平日の日中しか空いていないことを考慮すると共働き夫婦が相談に行くのはなかなか難しいのが容易に想像できるはずです。
他に考えられるデメリットとしては「睡眠時間の確保が出来ない」「子供の教育面に力を入れられなくなる」「自分自身のための買い物や髪の毛を切るといった事にも時間をさけなくなる」などがあります。これは私生活の満足度を下げてしまう要因となり、最終的には子供に対して十分な愛情を注げなくなることにも発展しかねない問題です。
工夫その1.手を抜ける家事はしっかりと手を抜くようにする
どちらか一方に家事育児の負担がのしかかるワンオペ育児では、家事の負担を少しでも軽減するために、小さなことから工夫をしていくことが非常に大切。とりあえず子供がある程度の大きさになり手がかからなくなるまでは「抜くところは抜く」の精神も非常に大事になります。
例えば、料理なんかが分かりやすいです。常に何かを作りたてで献立にするのではなく、コンビニの出来合いのお惣菜でもいいでしょう。仕事帰りに「〇〇で総菜を買ってきて」なんて相手方に依頼をしてもいいかもしれません。日々の料理の負担が少し減るだけでも精神的に楽になります。
また、日々の重労働の代名詞である選択に関してもしっかりと抜くところは抜いておきましょう。家計にある程度の余裕があるのであれば全自動洗濯機の導入を検討してみるのはどうでしょうか。決して安くありませんが、乾燥機能が付いているだけで洗濯物を干す労力や時間を削減する事が出来ます。また、子供の服などは乾燥済みのものをそのまま取り出してまとめておいて、着てもらったってかまいません。旦那さんの服や、奥さんの服に関してもそのまま乾燥機から出して相手に畳んでもらうか、そのまま着てもらう、なんてのも十分にアリでしょう。
洗濯機に関しては本当にいいものを買う価値があると思います。高いですがその分性能もよく、ものによっては「〇〇時に洗濯機を作動させる」なんて機能もありますし、スマホから好きなタイミングでスタートさせることができるものすらあります。
その他に考えられるのは、部屋が広いならロボット掃除機を導入してみるとか、食洗器を使ってみる、なんてのもあります。初期費用はありますが「時間をお金で買う」感覚になってもらえれば決して高くない投資だと思います。
また日々の作業を楽にさせるのであれば小さいことから家事をあまり負担してくれない側に依頼をして、少しずつ自分の負担を減らすのも大事になります。
工夫その2.子供にどんどんやってもらう!自立心の成長にも
子供が小さいから身の回りのことを色々やってあげないといけない・・・そう考えてしまう親は実は少なくありません。しかし、ただでさえ自分のことや家事の事で忙しい毎日を送っているんですから、子供が出来ることは可能な限り自分でやってもらうことも大事です。そして意外と子供は「自分でやってみたい!」と思っていることも少なくありません。
もちろん、最初のころは自分でやることに時間がかかったり、失敗してしまうこともあります。でもそこは「釣った魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えてあげる」の精神で接してあげましょう。最初は「自分がやったほうが早いからやってしまおう」なんて思ってしまいがちですが、子供は意外と要領よく自分なりのやり方を身につけてくれます。結果的には「しっかり教えてあげてよかった」と思えるはずです。
こうした中で子ども自身の成長にも繋がります。「自分でできる!」ということは自信に繋がりますし、「もっと色々やってみたい!」と新しいことへ挑戦する気持ちを持ったり、悪いことはありません。大事なのは失敗してしまったときに責めるのではなく、次はどうしたらいいのか?を根気良く丁寧に教えてあげることです。最初は大変でも結果的に自分が楽になることは間違いありません。
工夫その3.夫婦間での現状確認と、互いへの思いやりをシェアすること
工夫その1と工夫その2では「自分が出来ること」「自分が相手に対して働きかけること」でした。でも実際問題、育児や家事ってどちらか一方が負担するものではありませんよね(共働き世帯であれば)ということはつまり、「夫婦間での話し合いや意識の共有」が実は一番大事なことだったりします。
例えばママがいつも育児や家事をしていて、ある日ふと旦那さんに「〇〇をして」と依頼をしても旦那さんは何をすればいいのか分からなくなる、やってみたけど奥さんの満足いく結果ではなかった、ということは往々にしてよくあります。こういった事態を避けるために夫婦がお互いに「今何が大変で、何をするべきなのか」について共通の意識を持つことが重要となります。
話し合いをするときに愚痴のようなことになってしまっても最初はいいかもしれません。家事や育児は夫婦の問題であることは間違いありません。だからこそ、しっかりと話し合い「夫婦の問題として」旦那さんも奥さんも問題意識を持つことからスタートなんです。
そしてパートナーに対して「何をしてほしいのか」「何かをするときにどのようにしてほしいのか」についても話し合いをしましょう。
洗い物の仕方、洗濯物の干し方、本当に些細なことが時には大きなトラブルの原因となります。小さなことからしっかりと共通の考えを持つこと、お互いが許せることや許せないことを認識することで家事や育児だけでなく夫婦生活そのものが円滑に進んでいくこととなります。
パートナーの理解と協力が得ることが出来れば、ワンオペ育児・ワンオペ家事、そのものが無くなっていきます。抜くところは抜いて、パートナーとしっかりと話し合う、こういったところからワンオペ育児を解消していけばいいんです。